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エンバーミングの目的と手順

「エンバーミング」という言葉をご存知でしょうか。土葬が主流のアメリカやカナダでは、エンバーミングを行うことは主流となっていますが、火葬が主流の日本では、まだ定着していない技法です。本記事では、日本において、まだ馴染みの少ないこの技法に関して、紹介します。

エンバーミングとは

エンバーミングとは、遺体を長期間保存するために施す消毒・保存処理や傷ついた遺体を修復するための技法のことを言います。エンバーミングを行うことにより、10日間から2週間程度、遺体を腐敗させることなく、保存できます。
日本では、埋葬までに日数があく場合などに、エンバーミングを行うケースも増えてきています。

エンバーミングを行う目的

エンバーミングを行う目的は何でしょうか。エンバーミングの目的は、次の通りとなります。

1.遺体の消毒・殺菌

遺体の腐敗による、感染症の拡大を防止するために、消毒・殺菌を行います。これは、遺族や関係者に対しての感染だけでなく、遺体を取り扱う医療従事者(医師や看護師など)への感染を防ぐことを目的としています。

2.遺体の腐敗防止

遺体は、死後直後から腐敗が始まります。そのため、腐敗をしないよう、薬剤で防止をします。腐敗を防止することで、腐敗による匂いも防ぐことができます。

3.遺体の修復・化粧

遺体の傷の修復やお化粧を施します。ご遺族にとって、生前と同じ顔を見ることは、故人との最期の別れにはとても大切なことです。

4.故人とのお別れを存分にできます

消毒・殺菌をすることにより、感染症など衛生面の心配がなく、お別れの時をゆっくりと過ごせます。

エンバーミングの歴史

エンバーミングの始まりは、古代エジプトのミイラにまで遡ります。紀元前3200年〜紀元650年にかけて、古代エジプトでは、主要な臓器を取り出し、薬物を体膣に入れて、遺体の長期間保存を行なっていました。その後、ヨーロッパの解剖学者により、エンバーミングの技法が発展しましたが、現在のエンバーミングの技法の原点は、イタリア・フランスの科学者による、血管系の防腐剤注入技術を開発およびホルマリンの使用となります。

エンバーミングが発展する契機となったのは、アメリカの南北戦争と言われています。亡くなった兵士の遺体を、故郷にいる遺族の元に帰すことを目的としてエンバーミングが行われました。
更に、ベトナム戦争でもエンバーミングが行われ、技術が発展していくこととなり、現在に至っています。

エンバーミングを行った著名人

実際にエンバーミングを行った著名人をご紹介します。エンバーミングを行なった目的は、永久保存のため、埋葬までに時間を要するため、多くの人の弔問を受けるためとなります。

永久保存を目的とした指導者たち

  • ウラジーミル・レーニン:ロシアの革命家であり、政治家
  • ホー・チ・ミン:ベトナムの革命家であり、政治家
  • 毛沢東:中華人民共和国の政治家であり、軍事戦略家、思想家
  • 金日成:北朝鮮の指導者
  • 金正日:北朝鮮の指導者

埋葬までの期間、保存することを目的として指導者

  • 蒋介石:中華民国の政治家であり、軍人

多くの弔問を受けることが予想された著名人たち

  • マリリン・モンロー:アメリカ合衆国の女優
  • マイケル・ジャクソン:アメリカ合衆国のエンターテイナーであり、シンガーソングライター
  • テレサ・テン:歌手
  • 松本友里:女優であり、松平健の後妻
  • ヨハネ23世:ローマ教皇

エンバーミングの手順

日本におけるエンバーミングは、エンバーマーと呼ばれるIFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)のエンバーマーライセンスを取得した専門の技術者や医学資格を持った医療従事者によって行われ、手順は、次の通りとなります。

  1. 全身の消毒処理および洗浄を行います。
  2. 髭を剃る、表情を整えるなどの処理を行います。
  3. 遺体の一部分を切開し、動脈から防腐剤を注入し、同時に静脈から血液を抜きます。
  4. 腹部に小さな穴をあけ、胸腔や腹腔に残った血液あるいは腐敗しやすい残存物を鋼管で吸引し、同時にその部分にも防腐剤を注入します。
  5. 切開した部分を縫合しつつ、損傷部分の修復を行います。傷痕はテープなどで隠します。
  6. 最後に、全身を再度洗浄し、衣服を着せて、表情を整え直します。

エンバーミングの費用

日本におけるエンバーミングの費用は、遺体の状態により金額が変動しましますが、基本料金は、日本遺体衛生保全協会(IFSA)が定めているため、どこの葬儀社に依頼をしても同じくらいの金額となります。
基本料金は、15万円〜25万円とされ、以下の項目が料金に含まれています。

  • 自宅-施設間の搬送
  • エンバーミングの施術
  • ケガや損傷の修復
  • 着付け
  • 化粧
  • 納棺

まとめ

今回はエンバーミングについて紹介しました。日本では、亡くなってから荼毘にふせるまでの時間が短いこと、火葬が主流であることから、まだ一般的ではありません。しかし、安全や衛生の面や故人と過ごせる時間、故人が生前と同じ顔で弔問くださる方をお迎えできることで、少しずつですが、エンバーミングを行う人も増えています。
エンバーミングを考える材料として、お役立て頂ければ幸いです。

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