法事・法要でのお供え物の選び方と渡し方
- 2022年04月11日
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法事に招待されお供え物を持参する時、何を持っていこうか悩んでしまいますよね。できることなら喜ばれる物を選びたいものです。
法事に招かれた場合は香典を用意するべきなのですが、では、お供え物はどうすれば良いのでしょうか。お供え物のルールやマナー、そしてお供え物選びのポイントも一緒に紹介していきます。
目次
法事・法要とは
法事・法要は故人の死後、供養として行われるものをいいます。法要は、読経してもらうなどの供養の儀式のことを指します。亡くなってから49日後に行う四十九日法要は特に大切な法要の一つとされ、お墓などへの納骨が行われます。法事とは、その法要やその時に行う会食などを含めたものを指し行う内容や規模がその時々で変わってきます。
法事・法要で必要な持ち物
法事や法要に参加する際、一体何を持参すればいいのでしょうか。
法事や法要にまず必要になってくるのが数珠、そして香典です。また、法事・法要に参加する際に持っていくと便利なものは白か黒のハンカチ。外にお墓参りに行く場合は折りたたみの傘なども準備しておくと、いざという時に重宝します。
地域によっては、そのほかにお供え物を持参する場合もあります。
法事・法要に持っていく一般的なお供え物とは?
では普段、頻繁にあるわけではない法事や法要に、お供え物は何を用意したら良いのか、迷ってしまう人も多いでしょう。最低限のマナーをおさえて選びたいですよね。
仏教では、お供え物に定番とされているものが5つあり、それぞれに意味が込められています。
定番とされるお供え物 | お供え物の意味 |
---|---|
香りがあるもの(線香など) | 心身を浄化する |
明かりがつくもの(ロウソクなど) | ご先祖様がいる場所を明るくする |
花 | ご先祖様に喜んでもらう |
浄水 | 心を清らかにする |
飲食物 | ご先祖様の食事 |
法事・法要では故人を供養するため、仏壇や祭壇前にこういった品物や現金を供えます。ちなみに線香を買う代金として現金である香典を渡すといわれています。
お供え物は消費されてなくなるものが良いとされることから、線香やろうそくなどが一般的です。食べ物や飲み物をお供えする場合は衛生面も考え、個別に包装され、日持ちするものが良いでしょう。
仏壇や祭壇前にお供えした物は仏様からの「お下がり」と呼ばれ、法事・法要が終わった後、分け合って食べるケースもあります。昔からの定番は缶詰でしたが、かさばるので持ち帰りには不向きです。お餅や昆布などの乾物は日持ちするので現在でも重宝されています。
基本的には、故人の好きだった食べ物で構いませんが、肉や魚などの殺生を連想させるものは避けましょう。また、にんにくやネギなどの臭いもの・辛味が強いものはお供え物には不向きです。
地域によってお供え物のルールが違う
実際、法事や法要に参加する際、必ずしもお供え物を持っていかなければならないというわけではありません。最近では品物を渡すのではなく「御供物料」として現金を包むのが一般的なこともあります。地域によっては、法事や法要に出席する際にお供え物を持ち寄る風習もありますので、事前に周りの親族などに確認しておくとよいでしょう。
お供え物の金額相場
「御供物料」として現金を包む場合、法要のみで会食に参加しないのであれば5,000円前後が相場とされています。会食に参加する場合は、食事の費用を考えると10,000円から15,000円程度と考えるのが良いでしょう。
お供え物を現金でなく品物で持参するときも、だいたい目安として5,000円から10,000円の間くらいの品物を選ぶようにします。
おすすめのお供え物
お供え物におすすめ1:お菓子/菓子折り
お供え物を選ぶなら、「お下がり」として分けやすく、日持ちするものが良いでしょう。洋菓子であればマドレーヌ、クッキーなどが喜ばれます。生クリームのついたケーキなどは避けましょう。
せんべいや羊かん、最中などの和菓子も人気です。特に小豆を使ったお菓子は昔からお供えとして重宝されてきました。そのため饅頭、団子は定番なのですが、地域によっては手作りしてお供えする場合もありますので親族などに確認して用意することをお勧めします。
お菓子などは、持ち帰りのしやすい個包装になっている品を選ぶようにしましょう。
また菓子類のお供え物については、法事・法要時以外にも年始やお盆、春と秋のお彼岸の時期にお供え物として菓子類の購買需要が増えるといった傾向があると総務省より統計データが発表されています。
お供え物におすすめ2:果物
お供えには丸いものが良いとされるので、果物は喜ばれるでしょう。場所や時期によっては、果物をお供え用にセットで販売してくれているところもあります。果物の中でも梨、リンゴ、ブドウ、オレンジ、桃、メロン、すいかなどが定番です。果物の種類については特に決まりはありませんが、早く傷んでしまうものや臭いのあるもの、果汁が出やすいものはお供えに向きません。
お供え物におすすめ3:お酒
生前、故人がお酒好きだったのであれば、ビールや日本酒をお供えするのもいいかもしれません。ただ宗派や地域の風習、遺族の意向もありますので注意が必要です。お酒は故人が好きだった銘柄のものであれば、在りし日の故人を思い出し、偲ぶきっかけになるでしょう。とはいえ、お酒が祭壇に山積みになってしまっても困ります。遺族の迷惑にならないように気を付けましょう。
お供え物におすすめ4:花
切り花は花瓶など用意することになるので、アレンジメントされているものを選びましょう。場所に困ることもなく、すぐに飾れるので遺族の手をわずらわせる心配もありません。また、四十九日法要までは胡蝶蘭、菊やユリなどがふさわしいとされています。それ以降であれば、色のある花などをお供えしても良いとされています。ただし、バラなどの植物はとげがささって血が出るとけがれとなるため、禁花になっています。
※横にスライドすると表全体が見れます種類 | 品物例 | 注意点 |
---|---|---|
お菓子/菓子折り | 洋菓子:マドレーヌ、クッキーなど 和菓子:せんべいや羊かんなど |
生菓子など日持ちしないものは避ける |
果物 | 梨、リンゴ、ブドウ、オレンジ、桃、 メロン、すいかなど |
傷みが早いもの、臭いのあるもの、 果汁が出やすいものは避ける |
お酒 | ビールや日本酒などで 故人の好きな銘柄 |
宗派や地域の風習、 遺族の意向もあるため事前に確認 |
花 | 四十九日前:胡蝶蘭、菊、ユリなど 四十九日後:故人が好きな花や色のある花など |
バラなどのトゲのある植物は厳禁 |
お供え物の包み方に関するマナー
のし紙とは、かけ紙に、のし・水引・表書きを印刷した紙のことで、贈答品を包むときに使われます。法事のお供え物には「のし」の印刷がなく、弔事用の水引と表書きだけが印刷された「弔事用のし紙」を使いましょう。
のし紙
お供え物につける包装紙の下に弔事用のし紙を貼ってしまうと、誰からのお供え物かわからなくなるので注意が必要です。弔事用のし紙は包装紙の上から貼り、水引の下に参列者の代表名をフルネームで書きましょう。夫婦でお世話になった場合は、下の名前を連名にします。名前が5名以上になるときは「○○一同」と書くのがよいでしょう。
水引
お供え物の水引は四十九日までは白黒を使用し、四十九日以降は双銀のものを選びます。弔事用のし紙の水引は、一度結ぶとほどけない「結び切り」になっており、これは人生に一度きりで良いことに使われるものです。
三回忌以降は黄白が一般的とされていますが、関西などでは四十九日以降から黄白の水引を使うようです。地域により違ってきますので確認してください。
表書きは「御仏前」?
仏教の場合、四十九日前であれば「御霊前」が正式ですが、浄土真宗は、人が亡くなったらすぐに仏になるとされるため通夜・葬儀から「御仏前」となります。
宗派によって変わりますので、もし分からない場合は「御供」「粗供養」とするとよいでしょう。四十九日以降の表書きでは、成仏し仏となったと考えるため、正式には「御仏前」または「御佛前」となります。こちらも「御供」「粗供養」としても問題はありません。
お供え物を渡すタイミングは?
入り口などで施主から挨拶があったら、その際、「この度はお招き頂きありがとうございます」 などと挨拶をします。お供え物はそこで「御仏前にお供えしてください」など一言添え、香典と一緒に渡ししましょう。施主以外の方に渡すことや、黙ったままいきなり仏壇に供えることのないように気を付けましょう。
お供え物の渡し方
お菓子や果物などをお供え物とする場合、紙袋などに入れていくことが多いと思います。その際には、紙袋ごと渡すのではなく、中身だけ出して渡しましょう。紙袋はたたんで持ち帰ります。また風呂敷につつんで持参するとより丁寧です。このときも風呂敷からとりだして、中身だけ渡しましょう。
お供え物は、直接みずから仏壇に置かず、かならず施主に手渡すようにしましょう。ただし、仏壇に自分たちでお供えするという地域もあります。そのときは、ほかの方に習ってください。
まとめ
お供え物といってもルールやマナーがあり、注意が必要です。
法事や法要の席が和やかなものとなるよう、マナーをきちんと守って心のこもったお供え物と供物料を準備できるといいですね。
法事・法要でのお供え物に関するよくある質問
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監修者のコメント
岩田 昌幸一般社団法人 葬送儀礼マナー普及協会
お供え物というと、日持ちのするものの方が好まれるのでは、という意見もありますが、魅力的なスイーツがあふれている現代では、生菓子が絶対にダメというわけではありません。その日のうちにお下がりを分けられるような状況であったり、内々で行う場合などでは、上生菓子でもたい焼きでもケーキでも故人が好んでいたものをお供えしても良いのではないでしょうか。