[投稿日]2018年05月28日 [最終更新日]2018年11月15日
親族が亡くなった時に仏壇などとともに位牌を準備するという家庭が多いでしょう。
故人の霊が宿ると言われている位牌を作る際には、書くべき内容や文字の入れ方などきちんとしたルールがありますが、詳しく知らないという人も多くいます。
今回は位牌に書かれた文字の意味や、作る場合のルールなどについて解説していきます。
人が亡くなった時に作る位牌ですが、そこには文字入れをすることが一般的です。位牌に入れる文字にはきちんとした意味があるのですが、よくわからないという人も多いでしょうから、位牌に入れる文字の意味について見ていきましょう。
位牌とは故人の霊を祀るために作るので、戒名や法名などを書き入れます。
意味のない文字を入れているのではなく、故人の名前やそれに由来するような文字を入れるものなのです。
戒名とは本来、仏様の弟子に授けられる名前のことを言います。
現在では亡くなってから戒名をつけてもらうというのは一般的になっていますが、本来の意味から言えば生きている間に戒名を授けてもらって仏教徒としての生活を送るというものなのです。
戒名は、浄土真宗の場合には法名、日蓮宗では法号と言って、その宗派によって呼び方が変わってきます。一般的な葬儀の場合には住職から戒名が授けられることになるでしょう。戒名を授けてもらった場合には、位牌にそれを記します。
戒名に対して使われることの多い俗名ですが、これは生前に名乗っていた姓名のことを言います。
本来の意味では、仏門に入る前の名前を指すのですが、亡くなった際に戒名を授けられるというのが現在では一般的であるため、亡くなる前に使っていた名前という意味合いで使われることが多いでしょう。
戒名がある時には位牌の裏に、戒名をつけない場合には位牌の表に俗名を記します。
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位牌には故人の戒名や俗名といった名前に関係する文字だけをいれるのではありません。
名前に関するものだけでなく、故人が亡くなった日や享年とも呼ばれる亡くなった年齢なども一緒に書き記すことになります。
故人が亡くなった年月日を記入します。
没年月日は「20○○年」というような西暦ではなく「平成」というような元号を使い、漢数字で書き記します。
没年月日は亡くなった日がすぐにわかるようにということで表面に記入することが、一般的ですが裏面に入れる場合もあり、どちらに入れなければならないと決まっているものではありません。
故人の亡くなった時の年齢も位牌に記します。
この時に入れる年齢は、満年齢と数え年のどちらがいいのかということは決まっておらず、その家々などによって違います。
一般には白木位牌に記入されている年齢に従うことになるでしょう。
「行年」や「享年」という文字の下に年齢を入れることになりますが、どちらも同じ意味ですのでどちらを使っても構いません。これも白木位牌や古い位牌があればそれを参考にして決めてください。また、行年や享年という文字を入れないケースもあります。
位牌には基本的には上記の項目を書き記すことになりますが、これ以外にも宗派やランクなどによって入れることになる文字があります。どのような文字があるのか見ていきましょう。
白木位牌では「新円寂」「新帰元」などと言った上文字が記入されていますが、本位牌を作る場合には上文字は省くことになるので気を付けましょう。
梵字・冠文字とはそれぞれの宗派を表すロゴのようなもので、戒名の上に彫るのが一般的です。
宗派によっては梵字や冠文字を入れることが多い宗派、入れない宗派と違ってきますので、それぞれの宗派のしきたりに従ってください。真言宗、日蓮宗、浄土宗では梵字などを入れるケースが多くなっています。
先祖の位牌があるといった場合には、それに合わせて梵字や冠文字を入れるようにするといいでしょう。また、故人が子どもである場合には、子どもを表す梵字を入れるケースが多いです。
霊位・位とは位牌の表書きの一番下に書かれている文字で、置字や下文字などとも呼ばれています。
一般的には、亡くなってから四十九日までは霊としてこの世に存在しているという解釈がされており、位牌を依り代にしているという意味から霊位とつけているのです。ですから、四十九日がすぎて本位牌にする時には、霊位という文字は取り除きます。
しかし、真言宗では本位牌の場合でも「位」という置字をつけるので気を付けましょう。また、戒名がない場合には四十九日を過ぎても霊位をつけたままにします。
院号や院殿号は本来の戒名の前に置く称号のことを言います。
本来は天皇家などの特別な方々が亡くなった際に用いられていたものですが、寺を建立するなどの事業をした武将などの戒名にも用いられるようになりました。現在では、寺への貢献度の高い人や社会的貢献度の高い人の戒名などにつけられています。
位号とは、戒名の下につけられる尊称のことを言います。
仏教徒としての位を表すものであり、性別や年齢、地位などによってその位号は異なるのです。位の高い順に大居士・清大姉、居士・大姉などがあり、禅定門・禅定尼、清信士・清信女、信士・信女と続きます。子どもの場合には、童子・童女や孩子・孩女などの位号があります。
位牌に書く文字の意味は分かってもらえたでしょうが、位牌のレイアウトや書き方などにはルールがあります。適当に記入するということでは行けませんので、どのようにレイアウトしてどのように書けばいいのかといったことを解説していきます。
位牌のレイアウトや文字の入れ方などは、誰の位牌を作るのかによって変わってきます。次は、それぞれの位牌を作る場合の書き方やルールなどについて見ていきましょう。
故人1人の位牌を作る場合を見ていきましょう。
真言宗以外の場合にはまず、表書きに戒名と没年月日を記します。
裏面には俗名と亡くなった時の年齢を書き記すのが一般的ですが、没年月日を裏に入れるケースもあります。
宗派によっては梵字を入れるケースと入れないケースがありますので、その宗派のしきたりに従いましょう。
真言宗の場合には、基本的には同じレイアウトになりますが、戒名の下の「位」という置字を入れることになりますので、気を付けてください。
夫婦の場合には、ひとつの位牌に夫婦の戒名を入れることが可能になっています。
表書きには、夫の戒名と妻の戒名、没年月日を記入します。夫が右で妻が左というのが一般的です。
裏には、夫と妻の俗名、亡くなった年齢を入れましょう。こちらも、夫の俗名を右側に、妻を左側にというのが基本です。
1人の位牌を作る時と同じで、真言宗の場合には戒名の下に「位」を書き記します。梵字についても同じで、宗派のしきたりに従いましょう。
1人や夫婦の位牌ではなく、先祖代々の位牌を作ることもできます。
曾祖父や祖父母と先祖代々の位牌すべてを仏壇に飾るということはスペース的にも難しいですから、先祖代々の位牌をひとつにまとめて供養するというのが一般的です。この場合には、表書きに「○○家先祖代々之霊位」と記入して、裏書きはなにも記入しません。
梵字や冠文字については今までの位牌を参考にするといいでしょう。また、先祖代々の位牌を作る際には、家紋を入れるというケースもあります。
無宗教などで戒名を授からないという人もいるでしょうがその際には、位牌の書き方が変わってきます。
表書きには、俗名を記入することになりますが、「○○○○之霊位」というように霊位をつけましょう。
その他の書き方は戒名がある時とほぼ同じで、表面に没年月日、裏面に亡くなった年齢を書きます。表面にすでに俗名が書いてありますので、裏面に書く必要はありません。
位牌の文字入れのレイアウトや書き方についてみてきましたが、文字入れの字体や色にも種類があります。字体や色にはどのような種類があるのか、どれを選べばいいのかといったことについて解説していきます。
まず、文字入れの字体には手書きと機械彫りの二種類があります。
手書きでの文字入れは、味わいのある字体にできるのが特徴で漆で書いた後に乾燥させる時間が必要になります。
対して機械彫りの場合には、整っていて均一な文字入れが可能になるという特徴があり、手書きでの文字入れよりも素早くできるというメリットがあるのです。
宗派などによって特に文字入れの手法に決まりはありませんから、好みの手法や手配する時期などから選ぶようにするといいでしょう。
文字入れする際の色ですが、機械彫りの場合には表書きは金や白といった色が多くなっています。特に位牌の色が黒塗り、タメ塗りといった暗い色の場合には金色にするのが一般的ですが決まりがあるわけではないので、好みに応じて選ぶといいでしょう。
裏面は金か白が多いですが地域などによっては朱色にするケースもあります。手書きの場合には、裏表ともに金色で書く、または裏面のみを朱色で書くというのが一般的になっています。
位牌に入れる文字の意味やレイアウトなどについてみてきましたが、位牌を作る場合には仏具店などに頼むことになるでしょう。
位牌の文字入れを頼むときにどのようなポイントに注意すればいいのか、解説していきます。
位牌の文字入れを頼むうえでまず重要なのは、故人の宗教や宗派はなんなのかということです。
それぞれの宗教や宗派によって位牌に入れるべき文字が変わってきますから、特定の宗派を持っていたのかどうか確認してみてください。また、菩提寺などがあるのならそちらの方針なども確認しておいた方がいいでしょう。
特定の宗派がないという場合には、葬儀を執り行った住職の宗派に従うということが一般的ですが、無宗教として戒名などをつけずに位牌を作るということも可能です。
本位牌を作る場合には、古い位牌は白木位牌のレイアウトを参考にしながら、位牌に入れる文字やレイアウトなどを決めるのがおすすめです。
基本的には白木位牌に書かれていることをそのまま移すというのが一般的ですが、戒名以外の梵字や置字などの配置は考えなければいけません。
宗派によっても変わってきますので、それぞれの宗派に則って仏具店の店員と相談するといいでしょう。文字の書き方の注意点としては、旧字体が使われているのなら、旧字体のまま書くようにしてください。
新仏様の位牌を作る場合には、四十九日に行う法要に間に合うように作成しなければなりません。
葬儀が終わったらできるだけ早く位牌を作成するのにかかる時間などを確認して、注文をする必要があります。
特に手書きで文字入れをしてもらう場合には、機械彫りよりも日数がかかる傾向にありますから、手書きを希望している場合にはなるべく早く手配し始めることが大切です。手書きの場合には、2週間程度は見ておいた方がいいでしょう。
機械彫りの場合には7~10日ぐらいですが、特急サービスというスピード仕上げを提供している仏具店もありますので確認してみてください。
このように、位牌の文字入れの仕方にはルールがあります。
具体的な文字の内容やレイアウトなどはそれぞれの宗派によって異なりますから、故人の宗派を確認することがまず大切になるでしょう。
初めて位牌と作るという場合にはその位牌が、これから位牌や仏壇を継いでいく次の世代へのモデルケースになりますから、慎重に内容やレイアウトなどについて考えていく必要があります。
故人の遺志や菩提寺の住職の意見、葬儀社や仏具店のスタッフの意見などを聞きながら、位牌の書き方について検討して遺族や親族が納得できる位牌を作るようにしてください。