時宗の歴史や宗祖について理解しよう!宗派の教えや葬儀の流れについても紹介

カテゴリー 宗教

時宗(じしゅう)は、仏教の宗派の一つである浄土宗の一宗派です。あまり聞き慣れない宗派かもしれませんが、日本での歴史は古く、鎌倉仏教の1つとして中世から現代にその教えは受け継がれているのです。本記事では、そんな時宗の歴史や宗祖、教えの内容や葬儀の内容について解説します。

時宗とは?開祖である一遍上人や時宗の特徴

時宗とは浄土宗の一派です。時宗は、鎌倉時代の僧侶である一遍上人を宗祖とする宗派となります。宗祖であり開祖でもある一遍上人は、四国の豪族の家に生まれました。その後10代で出家し、天台宗のお寺で修行を始めます。修行は続き、長野県や大阪といった全国のお寺を経た後、弟子たちと共に各地を巡って布教活動を行って教えを広めていくことになりました。

一遍上人は、自分と弟子たちを「時衆」と称していました。宗派の名前が「時宗」となったのは、江戸時代以降のこととされています。また、開祖とされる一遍上人ですが、彼には新たな宗派を作り出そうという意図はなく、実際に彼の死後率いた一団は一度バラバラになっています。その後、再結成や分裂を経て、江戸幕府によって、一遍の流派を中心とする時宗という単一の宗派に統合されることとなるのです。

時宗の大きな特徴の1つが、1日に6回決まった時間に念仏を唱えるというものです。この特徴から、一遍上人と弟子たちは「六時念仏衆」とも呼ばれていました。時宗ではこの念仏を唱えるという行為を非常に重視しており、「南無阿弥陀仏」の念仏を唱えるだけで、阿弥陀仏を信じているかいないかに関係なく浄土への道が約束されるとしています。これは仏の本願力が絶対であるという考えから来ています。仏の力は非常に大きいため、その影響は仏を信じていない人間にも及ぶ、という解釈です。

時宗の歴史

時宗を広めた一遍上人は、他の宗派にはない独特の方法で布教活動を行いました。それが「ご賦算(ごふさん)」という特徴的な念仏札です。一遍上人は一つの場所に住むのではなく、弟子たちと共に16年間全国各地を旅し、教えを広めていきました。その際「南無阿弥陀仏決定往生六十万人」と版木によって印刷された念仏札を配り歩きました。この念仏札は縦7.5センチ、横2センチという小さなもので、身分などを問わず多くの人々の手に渡りました。

ご賦算にある「六十万人」とは人数ではなく、「六」は「南無阿弥陀仏」の六文字を指しています。「十」は全ての世界の生きとし生けるものを意味する「十方衆生(じゅっぽうしゅじょう)」という言葉と、生きとし生けるものは全て仏陀になる可能性を持っているという「一切衆生(いっさいしゅじょう)」という思想を意味しています。「万」は全ての徳を備えている仏の「万徳円満(まんどくえんまん)」、「人」はそのまま往生する人を指しているのです。「決定往生」は必ず極楽浄土に生まれるということです。

開祖である一遍上人は一か所に留まることなく、全国を渡り歩いて教えを広めることに尽力したため、寺院を建立することはありませんでした。時宗の総本山は神奈川県藤沢市にある清浄光寺(しょうじょうこうじ)です。元々時宗のお寺として建てられたものではなく、一帯を治めていた俣野氏が開いていたものを、時宗を信仰していた上人が後になって道場として再興したことから、時宗との関わりが生まれました。総本山となったのは江戸時代に入ってからです。近世になってからは遊行寺(ゆぎょうじ)と通称されるようになり、現在ではこちらの名前の方が一般に広く知られています。時宗の指導者を遊行上人と呼びますが、遊行四代呑海上人の開山以来、遊行上人が住まわれるお寺として親しまれたことから、この通称が広まりました。

時宗の教えは浄土真宗がもとになっている!念仏を唱えていなくても浄土へ

時宗は、浄土真宗の教えが元になっています。では両者にはどのような違いがあるのでしょうか。時宗は念仏を称えることを重視する宗派ですが、これは浄土真宗も同じです。

浄土真宗の宗祖である親鸞聖人は、阿弥陀仏の働きによって人は信心を育まれ、念仏を称える人生を歩むことになると伝えました。つまり信心は阿弥陀仏から頂いたものであり、念仏を称えることは阿弥陀仏に対する感謝をすることなのです。感謝の言葉なので当然口に出すべきものではありますが、称えることそれ自体が浄土に往生するための条件ではないとされています。

では時宗はどうでしょうか。時宗では、念仏を称えることで誰でも浄土へ行くことができるとされています。善悪や正邪という価値基準、念仏を唱えた結果といったことは考えず、ただ「南無阿弥陀仏」と称えること、これが阿弥陀仏の本願にかなうことだという考え方です。このただ称え仏の大きな力に身を任せることが重要だという考え方を「他力念仏」といいます。念仏を称えることで自力で浄土を目指す「自力本願」とは対称的な考え方です。現在では他人任せにすることを「他力本願」といいマイナスの言葉として用いられていますが、本来は仏教の言葉、しかも阿弥陀如来が持つ力という、全く違う意味の言葉なのです。

盆踊りの元になったと言われる、時宗の踊念仏

時宗の大きな特徴として挙げられるのが「踊念仏」という儀式です。これは鉢や太鼓を打ち鳴らしながら踊り、「南無阿弥陀仏」をはじめとする念仏を称えます。行うのは僧侶が主ですが、檀家の信徒も一緒になって踊ります。

この踊念仏は、夏の風物詩である盆踊りの元になったと言われています。盆踊りは先祖や亡くなった人を供養するための儀式ですが、時宗の踊念仏が死者を伴うお盆行事と結びついたことが、盆踊りの起源ではないかと考えられているのです。

踊念仏自体は時宗特有のものではなく、浄土真宗などの宗派でも行われているものでした。その起源は平安時代中期の僧「空也(くうや)」にあると言われています。空也は念仏を口に出して唱える口称念仏の祖であり、民間に浄土信仰の考えを広めた僧侶でもあります。一遍上人はこの空也を崇拝しており、彼の残した言葉を非常に重要視していたと伝わっています。踊りながら念仏を称える姿は、当時の人々から見ても非常に印象的だったのでしょう。この踊念仏を通して、時宗は全国へ広がっていったとされています。

国宝にもなっている絵巻「一遍聖絵」とは?

一遍上人は自身の考えを著作として残していません。しかしその活動を記録した「一遍聖絵(いっぺんひじりえ)」が残されています。これは一遍の異母弟であり、弟子でもあった聖戒という人物が、一遍の活動を記録として残したいという考えから作りました。一遍の十年忌にあたる正安元年(1299年)に全12巻を撰し、画僧に絵を描かせたものです。一遍の活動を忠実に記録した点はもちろんのこと、各地の神社や名所の景観を取り入れた点が特に高い評価を受けています。

高僧伝は、通常非常に長い時間が経ってから編纂されることが多いのですが、この一遍聖絵は一遍の死後わずか10年で作り出されました。また、聖戒は一遍に同行した時衆と共に、記録を元に一遍の遊行跡を再踏破、その後に書かれたものであるため、資料的価値も高いとされています。国内に現存する絵巻物の最高峰とされ、現在は国宝に指定されています。

時宗の戒名である法名とは?

仏教の葬儀では、その宗派の決まりに従って亡くなった人に「戒名」が付けられます。戒名は仏門に入った者に対して与えられる名前であり、仏の弟子になったことの証なのです。つまり死んだ後に付けられる名前ではないということです。実際にお坊さんはみんな戒名を持っています。仏の弟子にならずに亡くなってしまうと、そのままでは仏式のお葬式が行えないため、亡くなってから戒名を付け、仏の弟子としてお弔いを行うのです。

時宗では戒名ではなく法名といいます。時宗の法名は男性と女性でかなり大きな違いがあります。男性の法名には「阿弥陀仏」が多く用いられてきました。現在では省略された「阿」の1文字が法名に使われることが多いです。女性は「一」や「仏」の字が入るのが大きな特徴と言えるでしょう。これは一遍上人が女性の法名に「一房」や「仏房」を用いたことに由来があります。「弌」も同様に、女性の法名によく使われる字です。これらの文字は「一乗仏教」からきたとも、一遍上人の教えである「南無阿弥陀仏を一度称えるだけで悟りが証される」という考えからきたとも言われています。

他の宗派に見られる院号や位号ですが、これらは時宗の法名でも同じように用いられています。生前に何らかの功績を残した人の法名に付く、という点も同じです。そのため、他の宗派と時宗の法名を見分ける時は、「阿」「一」「仏」などの字が使われているかどうか、といった点に注目することになります。

時宗の仏壇・仏具の祀り方

仏壇が家庭における信仰の中心となるのは、時宗も他の宗派と変わりません。仏壇は特に決まりはなく、自宅に置けるものを選ぶといいとされています。

ご本尊は舟形の光背がついた阿弥陀如来を飾ります。ご本尊の両脇に祀る脇侍は、向かって右側に一遍上人、左側に真教上人となります。ご本尊を仏像、脇侍を掛け軸にするときは、掛け軸がご本尊より高くならないように注意する必要があります。仏具は花立、火立、香炉の三具足が基本となります。

何が必要かは地域によって異なることもあるので、分からないことがあれば仏具店に相談するのがいいでしょう。

時宗の数珠である念珠の特徴

仏教のお葬式では数珠を用います。時宗でも同じですが、僧侶や信者の間では数珠ではなく念珠と呼ばれるのが一般的です。正式なものは浄土宗と同じ球数で、2つの輪が交錯する独特の形をしています。先端には房が2つ付いているのも特徴です。

他の宗派では、数珠は108個の珠によって構成されていますが、時宗の念珠は珠の総数が異なります。男性用と女性用でも違いがあるのも大きな特徴です。男性の念珠は「三万浄土」と呼ばれ、片方の輪が主珠27珠、もう片方の輪が主珠20珠に副珠21珠で構成されています。女性用は「八寸浄土」と呼ばれ、片方の輪が主珠40珠、もう片方は主珠27珠と副珠28珠で作られています。

時宗の葬儀の主な流れ

時宗の寺院は全国的に見ると数が少なく、正式に時宗の作法でお葬式を行うことは非常に稀になります。浄土宗の流れを汲む宗派であるため、浄土宗の流れで行うことが多くなります。

時宗のお葬式では、入堂した後お香を焚き、お経を読み上げます。その後諸仏に対して生前の罪を懺悔し、念仏を唱えるという流れになります。弔辞を読んだ後は、読経、焼香、念仏と続きます。

時宗の葬儀の特徴や焼香の作法

時宗は合掌の仕方に特徴があるため、事前に押さえておきましょう。時宗の合掌は「未敷蓮華合掌(みぶれんげがっしょう)」と呼ばれるスタイルで行われることが多いです。通常の合掌と同様に左右の手のひら同士を合わせたとき、中央部分を少し膨らませ。蓮の蕾のような形をイメージするといいでしょう。肩に力が入っていると難しいので、肩や手をリラックスさせて行うのがコツです。焼香の作法は、他の宗派とあまり変わりません。左手に念珠をかけ、お香をつまんで額に押しいただきます。回数は特に決まっていないため、1~3回を目安に行うとマナー違反にはなりません。分からなくなってしまった場合はら、自分の前の人の焼香のやり方を参考にするといいでしょう。

まとめ

時宗は馴染みがない宗派かもしれませんが、宗祖である一遍が遊行によって全国に教えを広め、独自の教えや文化を多く持つ宗派です。踊念仏やご賦算などの特徴は、時宗が広まるきっかけともなりました。歴史は鎌倉時代にまでさかのぼることから、多くの歴史を擁している宗派としても見ることができます。接する機会があったら、その特徴や活動に注目してみてください。

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