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[葬儀費用]準確定申告と相続税の控除について

カテゴリー 葬儀費用

葬儀費用について確定申告では税金の控除は受けられませんが、その代わり相続税に関しては葬儀費用が控除の対象となっています。また故人の確定申告については死後4ヶ月以内に準確定申告というものをしなければなりません。本記事では解りにくい準確定申告と相続財産の控除について解り易く紹介します。

葬儀費用は確定申告ができない!?

葬儀は通常、何百万円単位という費用で行う高価な儀式です。 できるものなら「確定申告※」ができて、税金が控除されると葬儀を執り行った遺族はありがたいものです。

しかし、確定申告は所得から税金が控除されるので、葬儀は確定申告の対象外です。 多数の参列者から香典を頂く場合もありますが、香典は非課税とされており、確定申告は不要です。

では、相続税から葬儀費用を控除することはできないのでしょうか? この場合は、葬儀費用で控除することが認められています。 相続税とは、故人(被相続人)が遺した土地・家屋の不動産や、預貯金等の財産を譲り受けた方(相続人)が国に払う税金です。

本来は財産を譲り受けた分だけ税金がとられますが、葬儀費用も多額に上るため、遺族の負担を考慮して、相続税に関しては、葬儀費用が控除の対象となっているのです。

※確定申告・・・個人が、1月1日から12月31日までの前年の所得を税務署へ報告し、税金の払い過ぎまたは、不足分を調整する手続きのことです。

故人が遺した遺産の相続税の申告・納税

遺産を譲り受けたご家族(相続人)は、故人(被相続人)が遺した不動産および金融資産等のすべてを申告し、納税をしなければならないのでしょうか? 実は法律の規定により、取得した遺産の課税価格が基礎控除額を超える場合にのみ、相続税の課税対象とされます。

1.取得した遺産の課税価格の計算

まず、実際に相続した財産を計算します。 計算式は以下の通りです。

 

相続または遺贈により取得した財産価額+「みなし相続※1」等により取得した財産価額-「非課税財産※2」の価額+「相続時精算課税※3」に係る贈与財産の価額-債務や葬式費用の額=純資産価額(赤字の時は0とします)

※1「みなし相続」・・・故人の固有の財産とは言えませんが、税法上では遺産(相続財産)として扱われる物です。例えば、死亡退職金や死亡保険金等が対象となります。

※2「非課税財産」・・・課税されない財産のことです。例えば墓地、仏壇、祭具等や、国や地方公共団体等に寄付した財産が当たります。なお、死亡退職金や死亡保険金はそれぞれ「500万円×法定相続人の数」の額までは非課税財産に含めます。

※3「相続時精算課税」・・・生前に自分の財産を子または孫へ渡すための制度です。生前に贈与した金額が2.500万円までであれば、贈与税はかかりません。ただし、贈与する側が60歳以上であることが必要です。

2.各相続人の課税価格の計算

純資産価額がプラスであるときには、以下のように計算します。

純資産価額+相続開始前3年以内の贈与財産の価額(「暦年課税※」に係る贈与)=各人の課税価格

※「暦年課税」・・・贈与税の課税方法の一つです。年間110万円までなら非課税となります。ただし、各人の課税価格を計算する場合には、110万円以下の贈与財産も加えなければなりません。

3.課税価格の合計額から基礎控除額を差し引く

各相続人の課税価格を合計した後、合計額から「基礎控除額※1」を差し引きます。課税遺産総額が所得控除額を下回る場合は申告の必要はありません。

課税価格の合計額-(3.000万円+600万円×「法定相続人※2」の数)=課税遺産総額

※1「基礎控除額」・・・相続税の計算過程で、正味の遺産総額から控除できる額のことです。 平成26年12月31日以前に相続が開始された場合には基礎控除額(5.000万円+1.000万円×法定相続人の数)でしたが、平成27年1月1日以降に相続が開始された場合には基礎控除額(3.000万円+600万円×法定相続人の数)と改正されました。

※2「法定相続人」・・・民法で定められた相続人のことです。故人(被相続人)の配偶者、子、父母、兄弟姉妹を指します。

4.基礎控除後も課税遺産総額が残った場合

いよいよ税務署に申告し、納税する必要が出てきます。以下では、各法定相続人が民法で規定する法定相続分に従って遺産を取得したものとして、各法定相続人の取得金額および相続税の総額を計算していきます。

  1. 各法定相続人の取得金額の計算 課税遺産総額×各法定相続人の法定相続分=法定相続分に応じた各法定相続人の取得金額
  2. 各法定相続人ごとの算出税額の計算 法定相続分に応じた各法定相続人の取得金額×税率=算出税額
  3. 相続税の総額 各法定相続人ごとの算出税額の合計=相続税の総額

5.各相続人ごとの相続税額の計算

計算した相続税の総額を今度は、遺産を取得した方々の課税価格に応じて振り分け、遺産を取得した方々ごとに税額を計算します。

相続税の総額×各相続人の課税価格÷課税価格の合計額=各相続人等の税額

6.実際の納税額の計算

実は、「各相続人等の税額=各相続人等の納税額」とは言えません。 そこから再び控除や、更には税額が加算される場合があります。 自分が各控除制度の対象となるか、それとも税額が加算される対象となるか、判断がつかない場合は、税務署等へ相談することをお勧めします。

  1. 税額が控除される場合 「配偶者控除」、「未成年者控除」、「障害者控除」等が設けられています。
  2. 税額が加算される場合 これは「2割加算」と言われる制度で、故人(被相続人)の配偶者、子、父母以外の方が遺産を取得した場合、その方の税額に20%相当額を加算するというものです。

7.相続税申告書の作成および書類の準備

前述した計算方法で申告し納税する必要がある場合は、相続税申告書を作成します。

相続税申告書は、税務署から取得しますが、郵送されてくる場合もあります。 申告書と合わせて主に次の書類を提出する必要があります。

  1. 故人(被相続人)の戸籍謄本または除籍謄本 故人の出生から死亡までの戸籍謄本または除籍謄本を準備します。 戸籍謄本とは、戸籍に記載されている人の出生や死亡の事実、親子関係、婚姻関係等の事実を証明する文書です。
    除籍謄本とは、死亡、婚姻や離婚等が原因で戸籍に記載されている人が全員いなくなった事実を証明する文書です。 どちらも故人の本籍地の市区町村役場で取得します。
  2. 遺言書、遺産分割協議書の準備 故人が遺言書を作成している場合には遺言書を、相続人間で遺産分割の話し合いをした場合には、その内容を書面にした遺産分割協議書を準備します。
  3. 相続人全員の印鑑登録証明書の準備 印鑑登録証明書を準備します。こちらは主に遺産分割協議書作成の際、各相続人が実印を押すので、その実印が本物であることを証明するために市区町村役場から発行してもらう証明書です。
  4. 葬儀費用の領収書の準備 葬儀費用は相続税の控除対象です。葬儀費用がいくらかかったのかを証明するために、葬儀会社から忘れずに領収書をもらっておきましょう。

8.相続税申告書等の提出

相続税申告書等を準備して、故人が亡くなった時の住所地を管轄する税務署へ提出し、納税する必要があります。尚、各ケースによって「7.相続税申告書の作成」で挙げた準備書類の他に、追加書類を提出しなければならないこともあります。 申告、納税には期限があるので忘れずに期限内に済ませましょう。

申告・納税は10ヶ月以内が期限

相続税の申告も、納税の申告も、期限は故人(被保険者)が死亡した日の翌日から10ヶ月以内です。 相続税を過少に申告することや期限が過ぎても未申告であること、遺産を隠ぺいしたような場合には罰則が適用されます。 なお、申告した後に新たな遺産を発見した場合には、「修正申告書」を提出する必要があります。

相続税がゼロになる場合(ケース)

相続税がゼロになるのは、前述した課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いた課税遺産総額が0を下回る場合が挙げられます。ただし、以下のような税額控除で相続税をゼロにできる場合があります。

1.配偶者の税額軽減

配偶者の税額軽減は、配偶者が実際に取得した正味の遺産額が、「1億6千万円」または「配偶者の法定相続分相当額」の金額のどちらか多い金額までは、相続税はかからないという制度です。

2.その他の税額控除等

配偶者の税額軽減ほど相続税がゼロになる可能性は高くはないですが、「未成年者控除」や「障害者控除」等があります。 また、不動産に限定されますが居住用の土地を所有するご家族は、「小規模宅地等の特例」を利用することで、宅地の土地評価額を最大80%減額することができる場合があります。 故人の遺産を把握し、相続人の方々がどんな控除や特例措置を利用できるか、税務署や税理士等に相談することをお勧めします。

相続税の控除対象になる葬儀費用に項目

葬式費用として認められる費用とは、通常、葬式を執り行うにあたり必ず発生する費用が対象となります。 葬式費用として遺産総額から差し引けるものは以下の通りです。

  1. 葬式や葬送に際して、またはこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(尚、仮葬式・本葬式ともに葬式費用として認められます。)
  2. ご遺体や遺骨の回送にかかった費用
  3. お通夜など、葬式の前後に生じた費用で通常葬式に欠かすことのできない費用 葬式に当たって寺院等の対して読経料、戒名料、お布施等のお礼をした費用
  4. ご遺体の捜索またはご遺体、遺骨の運搬にかかった費用

相続税の控除対象にならない葬儀費用の項目

葬式費用として不要なものや関係のないもの、非課税となるものは、遺産総額から差し引くことができません。
葬式費用として遺産総額から差し引けないものは以下の通りです。

1.香典返しのためにかかった費用

香典は仏式等の葬儀で、故人の霊前に供える金品を言いますが、この香典に関して非課税とされていて、贈与税を納税する必要はありません。
そのため、非課税とされた財産となる香典に対して返礼をする行為は、葬式費用に該当しません。

なお、香典返しと似たようなものに「会葬御礼の費用」があります。こちらは葬儀に参列してくれた方々に対するお礼として渡す物の費用ですが、葬式費用に該当するか否かはケースにより異なります。

  1. 会葬御礼の費用が発生したが、香典返しをしなかった場合→会葬御礼の費用が香典返しとみなされ葬式費用に該当しません。
  2. 会葬御礼の費用が発生し、香典返しを実施した場合→会葬御礼の費用が葬式費用に該当します。

2.墓石等や墓地の買い入れのための費用や、墓地を借りるための費用

墓石、墓地や仏壇購入費用は非課税となるため、相続税を納める必要はありません。非課税とされた財産である以上、葬式費用に入りません。加えて、墓石等の購入にしても借り入れにしても、葬儀とは関係がないので控除対象にはなりません。

3.初七日や法事等の費用

葬儀に関して負担する費用ではないので控除の対象外です。

4.ご遺体の解剖費用

葬式費用とは関係がないため控除の対象外です。
ただし、前述した通り「5.ご遺体の捜索またはご遺体、遺骨の運搬にかかった費用」は葬儀費用に当たります。

故人の確定申告(準確定申告)は死後4ヶ月以内が期限

故人が亡くなった場合でも、その故人の確定申告を行わなければいけません。
相続人は、1月1日から故人(被相続人)が死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、相続開始(故人の死亡)を知った日の翌日から4ヶ月以内に申告と納税を行う必要があります。これを「準確定申告」と言います。

なお、相続人が2人以上いる場合には、原則として連署により準確定申告書を提出します。ただし、他の相続人の氏名を付記して各人が別々に提出することができます。その際に、当該申告書を提出した相続人は、他の相続人に申告した内容を通知しなければなりません。

準確定申告について詳しくは「故人の代理で行う準確定申告のすべて」で紹介していますので、ご参照ください。

故人の医療費控除

医療費控除とは、1月1日から12月31日までの間にご自身又はご自身と生活を共にしている配偶者、その他親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができる制度です。

前述した準確定申告でも所得控除は適用されますが、控除の対象になるのは、死亡の日までに故人(被相続人)が支払った医療費であり、死亡後に相続人が支払った金額を、故人の準確定申告で医療費控除の対象に含めることはできません。

故人の預貯金の引き出し方

故人の預貯金は「遺産」であるため、遺産分割の対象となり、相続税の課税対象となります。
そこで、銀行をはじめとした金融機関は、親族が故人の口座から勝手にお金を引き出すのを防止するために、口座を凍結します。
では、葬儀費用を支払うために故人の預貯金からお金を引き出すことはできないのでしょうか?
このようなやむを得ないケースでは、金融機関は引き出しに応じてくれます。ただし、多くの準備書類を集めた上で引き出す手続きを踏まなければいけません。
以下では、概ね引き出す際にどの金融機関でも必要になる書類を挙げます。尚、各金融機関によっては更に追加書類が要求される場合があります。

  1. 金融機関所定の申請書(実印押印が必要)
  2. 故人(被相続人)と相続人の関係を証明する戸籍謄本
  3. 故人の死亡診断書(写し)
  4. 相続人の本人確認書類(運転免許証、パスポート等)
  5. 葬儀費用の請求書又は見積書

まとめ

相続税には所得控除、配偶者控除等があり、故人の準確定申告にも種々の控除があります。

ただし、遺族はまず故人がどのくらいの遺産を残したのかを、申告・納付期限内に正確に把握し、正直に申告する必要があります。
この義務を果たした上で遺族に「控除」という国からの特典が与えられるわけです。

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